東京大学教養学部 統合自然科学科 Integrated Sciense
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イノベーションの起こる場所
幅広い学問分野が集結した
新たな知のカオス
数理自然科学コース出身
大学院総合文化研究科 修士1年生
山岸純平さん
学部を選んだ理由は?
生物学や物理学から文学まで全てを
網羅するこの学科への進学は運命でした
大自由度カオスの研究などで有名な金子邦彦教授の著作や、金子研OBの円城塔氏の小説などに感銘を受けて理科I類へ入学した私にとって、統合自然科学科へ進学するのは自然なことでした。
学部入学後は、全学自由研究ゼミナール「『生命とは何か?』に迫る研究体験ゼミ」を受講。
これは、主に本学科研究室に配属され、各研究室のテーマや手法について教わり、自ら研究活動を行うというものです。
金子先生や斉藤稔先生のご指導のもと、細胞集団における分化・分業のメカニズムと安定性について理論研究を行いました。途中、医学部医学科での迷える1年を経て、この学科へ戻る決意をしたことも、研究に対する自らの意思を確認する良い機会となりました。
当時お力添え頂いた方々には、感謝しかありません。
学部の良い点は?
幅広く展開される講義の数々と
研究環境の良さは、学内トップレベル
まずは、講義の内容が幅広いだけでなくレベルが高いことに驚きました。
特に面白いと感じたのは「カオス」「量子力学特論」「構成・システム生物学」「情報と計算の物理」「統計力学演習」「数理生物学」などです。
数理物理学から化学、生物学、認知科学やスポーツ科学まで幅広い先生
方がいらっしゃるだけでなく、駒場にあるため数学科の講義も履修しやすく、ルベーグ積分論や常微分方程式論、複素解析などの講義は数学科の先生によって開講されます。これは、理学部や工学部にはない良さです。
なにより、1学年あたりの生徒数が少ない一方で、教員数は他の学科と変わらない(むしろ多い?)ため、先生方との距離がすごく近い。
これは普段の講義だけでなく、ゼミでの読書会、自主的な勉強・研究においてもそうです。
あなたの研究テーマは?
物理学×生物学×ミクロ経済学
世界に類のない理論研究を展開
物理学(非線形・複雑系、統計物理学)、生物学(代謝系、生態系)、ミクロ経済学に関わる理論研究を行っています。
具体的な研究成果としては、ガン細胞や大腸菌の代謝系をミクロ経済学を用いて定式化し、「オーバーフロー代謝」と「ギッフェン財」の対応と原理を示しました。
この定式化により、代謝系の薬剤に対する応答を新たに予言できました。他にも次のような研究を行いました。
・単離細胞が必須代謝物を漏らすことで自身の成長を促進できる原理、また、漏出代謝物を介して多様な種が共生・分業できることを理論的に示しました。
・大自由度系における周期運動からカオスへの遷移:高次元トーラスがフラクタル化することでカオスに遷移し、トーラスとカオス両方の性質をあわせ持つことなどを、数値計算を通して見出しました。
目指すキャリアは?
分野横断的、かつ、分野統合的に
新たな学問領域を拓く研究者になること
私自身は、生き物の多様性や進化、代謝制御、免疫、貨幣などの現象に特に興味があり、理論としては、力学系理論や統計物理学、ミクロ経済学などを主に学んでいます。
分野横断的、そして分野統合的な研究者になることが目標です。
現象を見据えて理論を作り、理論の視点から現象を観察するのが、科学者として基本的かつ重要な姿勢だと考えています。
また一方で、俳句や文学が好きで、かつて金子邦彦、円城塔、寺田寅彦、時枝正などの文章を読んで感銘を受けました。
私自身も、後世の人に何かしら感じてもらえるような文章や俳句をうみだせる科学者・研究者となって、国内外の大学や研究機関で働くことができれば、とても嬉しいです。
Message
優秀な先輩方の伝統と、
最高の基礎科学研究環境とが同居する学科
Department of Basic Scienceという英名は、基礎科学科時代から使われ続けています。
ノーベル賞を受賞された大隅良典先生をはじめ高名な卒業生を多く輩出し、2011年に統合自然科学科と改名してからも総長大賞を2年連続で受賞するなど、幅広い学問を身につけ基礎科学を研究するには最高の場です。
複数の進学先に迷っていたり、既存の学問分野の境界領域に関心があったりするという方に、とくに強くオススメします!
Profile
1995年 兵庫生まれ
灘高校卒業後、東京大学理科一類へ入学
2017年 教養学部統合自然科学科へ進学し、金子邦彦研究室へ配属
2018(平成30)年度の総長大賞を受賞
専攻区分は学業(学士:教養学部4年)
東京大学大学院修士課程へ進学
金子研究室在籍