統合生命科学コース

研究者としての「厚み」をもたらす、他学部には見られない複合的アプローチ

「統合生命科学コース」は、生命の様々な階層における秩序、構造、機能、法則性とそれらを統合する生命システムの成り立ちを把握し、生命科学のフロンティアを開拓することのできる人材を育成します。そのためには、若い時代に広い範囲の学問を修得し、研究者としての「厚み」を備えておく必要があります。

本コースでは生化学、分子生物学、生物物理学などを駆使し分子を対象とする研究から、発生・細胞生物学、生態学、脳・神経科学、複雑系生物学、構成的生物学といった細胞や個体を対象とする研究に渡る幅広い分野についての知識、実験手法が学べます。ノーベル生理学・医学賞を受けたオートファジー研究が開始された場であったことが象徴するように、本コースでは、流行に捉われない独創性の高い基礎研究が行われています。卒業研究ではそうした研究を行いながら、生命科学分野にまだ多く残されている疑問に取り組み、明らかにするための思考力や技術力を身につけます。

理学部、農学部、薬学部などには見られない複合的アプローチが可能な点も統合生命科学コースの特徴です。文系学科、学際科学科や、本学科の他のコース・サブコースの科目も一定数自由に選択することができ、卒業時に主(メジャー)専攻と、副(マイナー)専攻を修了することが可能です。

統合生命科学コースの特徴

統合生命科学コースには、ライフサイエンス研究の若き研究者が集結し、生命科学のフロンティアを開拓しています。統合生命科学コースの特徴は、主に次の3つです。

1.ノーベル賞研究に象徴される先端性

統合自然科学科は、ノーベル生理学・医学賞の受賞者を輩出した、東大で唯一の学科です。東京大学 特別栄誉教授である大隅良典先生は、統合自然科学科の前身である基礎科学科を1967年に卒業されたあと、1988年に助教授として教養学部に赴任されました。そのときに、駒場にある3号館の研究室にて、ノーベル生理学・医学賞を受けたオートファジー現象を発見されました。これは、駒場キャンパスにある自由な学風の中で、流行にとらわれない独創性の高い研究が行われたことによる成果です。

現在の駒場キャンパスにおいても、この自由な学風が息づいており、若き教員たちが柔軟な発想で、先端的でチャレンジングな研究テーマを選び、学生たちと一緒に日夜研究に励んでいます。大隅先生が駒場に着任後にノーベル賞研究を開始されたのは40代のときでした。現在の統合生命科学コースには、この年代の教員が非常に多く所属しており、言葉には出さないかもしれませんが、心の中でひそかに、第2、第3の大隅先生を目指して、熱心に研究と教育に取り組んでいます。親身になって学生を指導するのみでなく、教員自らが現場に立って実験をしている研究室も多いです。本当の「最先端」研究をやりたければ、自由な学風で、若手教員が多いところが良いはずです。統合自然科学科の統合生命科学コースは、真の最先端を目指す学生にとって最良の選択となります。

2.本郷の理系諸学部に匹敵する多様性

統合自然科学科では准教授が独立した研究室を運営できるため、統合生命科学コースには26もの研究室があります。その研究テーマは次のように極めて多様で、多岐にわたります。

理学的な基礎研究  分子生物学、細胞生物学、生化学、植物生理学、など
医学的な研究    神経科学、内分泌学、など
薬学・工学的な研究 創薬への応用、など
農学的な応用研究  物質生産、バイオテクノロジー、など
融合領域研究    生物物理学、数理生物学、生物情報科学、など
実験理論などのアプローチ法も多彩

4年時の卒業研究では、これら26の研究室の中から一つを選ぶことになります。基礎から応用まで、しかも幅広い分野の中から好きな研究室を選ぶことができます。統合生命科学コースの定員は20名ですので、学生数よりも教員数(研究室の数)が多いことになります。こんなにも教員から手厚く指導を受けられる学科は、東大の中でも唯一と言えるでしょう。

また、これらの研究室はすぐ近くにありますので、様々な共同研究も可能です。新しい分野を切り拓くような研究をしようと思ったら、既存の学問領域にとらわれず、複数の学問領域を融合することが必要になってきます。純粋に生命科学を学んでいるだけでは、新しい生命科学を開拓することはできません。創造とは組み合わせであると言われます。すぐ隣に、自分とは少し違うことを考えている人たちがいる環境ならば、そのような創造的組み合わせは容易になり、自分では意識しないうちに、全く新しい研究を始めているかもしれません。統合自然科学科の統合生命科学コースでは、そのように新しい分野を創造できる環境を提供しています。

3.一流の研究者を育成するための基礎教育の充実

最先端の研究を展開できる一流の研究者となるためには、まずは生命科学の基礎をしっかりと身に着ける必要があります。統合生命科学コースでは、講義、実習、セミナーの3本柱を通して、基礎知識、基礎実験技術、プレゼン技術などを習得できます(下図参照)。

講義については、最初に、生命科学の基本である細胞生物学、分子生物学、生化学を学びます。また、当コースの特徴である先端性・多様性を象徴するように、他学科では見られないような、生命科学関連の多岐にわたる講義が開講されます(生命科学概論、生命科学研究法、発生・再生生物学、バイオイメージング、生命の多様性、生物物理学、光生物学、生体高分子科学、超分子生体システム論、構成システム生物学、脳神経科学、など)。これらを4年生になるまでの間に、自由に、好きなだけ履修することができます。この他に、統合自然科学科にある他コースの講義(物理、化学、心理学、スポーツの講義)や、すぐ隣にある学際科学科で開講されている情報系の講義なども容易に履修でき、一定数までは卒業単位として認定されます。

実習は3年時から開始されます。3年生のSセメスターでは、週3日の実習を通して、生命科学実験の基礎技術を習得します(ピペットの取り扱い、DNAや大腸菌の取り扱い、遺伝子変異導入法、タンパク質の発現・検出・精製、HeLa細胞の取り扱い、酵素反応速度論など)。3年生のAセメスターでは、週3日の実習を通して、統合生命科学コースにあるほぼ全ての研究室における研究を体験します。当コースには、上記の「2.本郷の理系諸学部に匹敵する多様性」の項目に記載したように、非常に多岐にわたる研究室があります。これらの研究をほぼ全て体験できる学科は、この統合自然科学科 統合生命科学コースにしかありません。3年生Aセメスターの半年間を通して、自分が希望する研究室を考えます。そして4年生からは、希望する研究室に配属されて、週5日間、最先端の研究を行います。学科発表や論文執筆を行う学生もいます。

セミナーについては、2年時はオムニバス講義を行い、統合生命科学コースにある各研究室で行われている最先端研究の内容を紹介します。3年生のSセメスターでは、英語論文の読み方を学びます。輪講形式で、半年間に約5本のじっくり論文を読み、論文の構成、論文の読み方、および論文の書き方等について詳細に学ぶことができます。これを通して、学生自身で論文を読むことができる技術を習得します。3年生のAセメスターでは、実際に学生自身で論文を読み、PowerPoint等のスライドを作って論文の内容を発表するセミナーを実施します。これにより、大学院の研究室で日常的に行われている論文紹介セミナーでのプレゼンテーション方法や資料の作成方法などを学ぶことができます。また、スライドを使ったプレゼンテーション方法の習得は、4年生や大学院生になったときに最新の研究成果を学会等で発表するときに、そのまま活用できます。

このように、統合生命科学コースでは、一流の研究者を育成するための基礎教育に力を注いでいます。多くの学生は学部卒業後に大学院(総合文化研究科 広域科学専攻 生命環境科学系)に進学し、素晴らしい研究成果を挙げています。また、プレゼン技術などの習得は、一般企業に就職する際にも極めて重要です。

統合自然科学科の統合生命科学コースでは、新しい生命科学を開拓したいという気概に満ちたチャレンジングな学生が進学してくることをお待ちしています。

研究風景

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