細胞医工学・生体高分子科学

吉本 敬太郎 准教授(統合生命科学コース・物質基礎科学コース) 研究室HP

吉本研では、生体外で細胞の三次元構築を可能とする新しい材料(バイオマテリアル)や方法論を提案し、構築した三次元化細胞を診断用デバイス(micro-organ
chip)や細胞疾患療法(細胞を使った治療)へと応用する研究を行っています.

図1は、胎児マウスの肝臓細胞(胎生肝細胞)を細胞接着領域が規制された高分子ゲルマイクロパタン表面で約1カ月間三次元共培養を行ったものになります.
三次元化の手順ですが、まず、写真Aのように株化された内皮細胞を円形状のパタン表面で単層培養し、一週間培養します.次に写真Bのように胎生肝細胞を連続して播種して約2週間かけて細胞塊を形成させます.

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図1. 内皮細胞(単層)/胎生肝細胞(三次元)の共培養体.スケールバーは100μm.A: 培養後1週間の内皮細胞(単層)、B: Aの内皮細胞の上に胎性肝細胞を播種して約1ヵ月後経過した状態

通常、単層状態で培養を行った臓器系の初代肝細胞は3~4日程度で死滅しますが、三次元共培養した胎生肝細胞は生体外で1ヵ月間も長期培養したにもかかわらず細胞塊中の大部分の細胞が生存していることがわかります(図1.C: 緑色が生細胞、赤色が死細胞).つまり、

(1) 初代細胞を長期間生体外培養するためには三次元化が必要

であることがわかります.この他にも本法で三次元培養された細胞は、

(2) 生理機能が高い(例えば肝細胞であればアルブミン産生能、尿素合成能など)
(3) 分化誘導効率が高い

などの特長をもつことを吉本らは明らかとしてきました。このように三次元培養して機能を高めた細胞は診断用細胞チップ細胞治療の新しい細胞ソースとして期待できますし、本三次元共培養法は各種幹細胞の分化効率を高める新しい方法としても利用できます。
参考文献:Lab on a Chip, 9, 1991-1993 (2009). Lab on a Chip, 9, 1286-1289 (2009). Colloids and Surfaces B: Biointerfaces, in press (2012)